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本のレビュー「起業1年目の集客の教科書」 著:今井孝 

イントロダクション

こんにちは!プロダクトデザイナーのTANUKIです。


このサイトは、キャリアアップに必要なスキル向上に注目しています。本を読むことは、多くの面で有益であり、時短になります!ここでは、本選びのご参考に紹介したいと思います。

今日の本はこちら↓

今回は、「起業1年目の集客の教科書」 著:今井孝さんです。著者は10年間ずっと300人規模のセミナーを主催して席を埋めてきた集客のプロです。集客については馴染みが無かったので何度読み直しましたが、実績のある方のノウハウを学べるなら読書時間は短いものです。

学びのエッセンス

一言で言うと「集客するマインド」を教えてくれる本です。時代によって変遷してしまう集客術のノウハウではなく、「集客」とは何か?から始まり、読み終わる頃には集客できる人の考え方を理解し行動量を増やすマインドになっています。どの様な学びがあるのか見ていきましょう。

見逃せないポイント

「原理原則を知る」

1920年代に提唱された「AIDA」(アイダ)という消費者の心理プロセスが最初に語られています。「AIDA」は以下の単語の頭文字です

  • Attention=注意
  • Interest=関心
  • Desire=欲求
  • Action=行動

注意を引いて関心を持ち、欲求が生まれ、行動につながるというものですが、1000年前のものが基本的に今も通じているというのです。本書では集客の原理原則として紹介されています。そして、やや難しいので下記に置き換えられて易しく説明されています。

  • 出会う
  • 仲良くなる
  • 検討する
  • 買う

集客の目的は製品やサービスを買ってもらうことが目的ですので、最後の「Action=行動」の部分が「買う」になってイメージし易くなったと思います。

顧客が買うまでのプロセスは「Attention=注意」に相当する「出会う」から始まります。お客さんを探したいところですが、著者によると「お客」を探してはいけないというのです。何かサービスを開始しようとするとどこにお客様がいるか検討しがちです。しかし、どこにお客様がいるかは関係なく、「誰がお客さんになるか?わからない」というのです。確かに販売を始める前からどの人が実際に買ってくれるかはわかりません。ここでは誰がお客様かを見極めるよりもアプローチ数を増やすことが大事だというのです。たくさんの時間を割いてターゲットユーザーを絞り込んで、アプローチしてみたら大外れなんて目も当てられないので、納得です。

お客様を探すこと(選ぶこと)に時間を掛けずに、異業種交流会で名刺を配る、Webページを検索してもらう、SNSで繋がるなどアプローチをできる限り行うことが挙げられています。

次に「Interest=関心」「仲良くなる」では例えば主催したセミナーへの参加者として知り合ったなら分け隔てなく全員にお礼のメールを送るというのです。これが重要な「与える」ということです。どういうことかというとお礼のメールは「読んで嬉しい」内容である必要があります。これはある種のプレゼントで、その見返りに100人に1人でも関係が続けば見込み客の獲得です。確率が少なそうに感じますが、ターゲットユーザーという絞り込んだ世界でさらに少ない数の人にアプローチすると0かもしれません。それよりは確率は高そうです。

これは本から離れますが、「まず、与える」ということは転職エージェントがやる方法に似ています。まずはスカウトという形で登録者にとって「経歴が認められた!」という嬉しくなるプレゼントを与えて、舞い上がった登録者はエージェントに面談を申し込んでしまうことに似ています。これが先に与えてお客様を掴むということです。

「Desire=欲求」にあたる「検討する」ですが、商材の特徴や良さを説明して検討してもらうことになります。ここから始めようとする集客初心者が多く、失敗しているというのです。確かに何を勧めようとする時に最初からサービスの良さや特徴を話し始めてしまうことがあるのではないでしょうか?仲良くなっていない人の話を聞いてはくれませんよね。突然商材の説明を始めるのは仲良くもない人の話も聞いてしまうお人好しを一人づつ探しているようなものです。本書によれば、偶然に頼っている状態だということです。しっかり、前述の仲良くなるのステップを踏んで進みたいものです。

最後に「Action=行動」「買う」ですが、人は売り込みを嫌がるものとして書かれています。確かにうるさい店員は何を買う時も避けたいものです。買うこと自体は検討したり見比べたりと消費者にとって嬉しい行為です。ですから、放っておくと楽しい方向に傾いていくので「自己決定」のお手伝いをするということがお薦めされています。試食や無料体験を促す、喜ぶ情報を与えるなど、与え続けることで自主的に決定する機会を待つということです。

売るとなると、営業トークを饒舌にしないといけないのではないか?とイメージしたりします。しかし、客の心理を捉える原理原則がわかっていれば、それだけではないことが理解できます。締め切りを設けるのも一つの手法で、販売終了、先行予約、今だけの特典など顧客の背中を押すことが有効だと語れています。スーパーマーケットの特売日やポイント3倍の日などがそれにあたり、売上が通常の1.5倍にもなるとのことです。

笑顔で挨拶することも先に与える行為になるというのには納得です。些細なことですが、「買う」に繋がる見込み客を増やしているに違いありません。

「顧客にアプローチする姿勢」

見込み客にアプローチする時に気をつけるべきことは何か?考え込んでしまい、なかなかお客様にアプローチできないこともあるのではないでしょうか。お客様を集客するには立派なWebサイトを用意したり、チラシを何千枚も用紙しなければと思い込んでいる人が多いとのこと。その人達は、始めたことがないのに最初から100点を目指して動けないというのです。思い込みを捨てて小さいことから始めるこで、ハードルを下げ行動機会を増やすことが語られています。また買ってもらうには実績が必要な部分でも起業一年目のハードルを下げるために売らずに実績を作る方法として「モニター体験」「格安」でサービスを体験しもらい、そのフィードバックを実績にしていくというものです。そうして、作られた実績に人はさらに集まるようになるということです。

アプローチする際に気をつける点として「もうやった」と言わないというものがあります。これはアドバイスや意見を受けた時にアドバイザーや先輩から自分が過去にやったことのある施策を聞くと、つい言いたくなるとも思います。しかし、アドバイスする方がそれで上手くいっているとすれば、自分の取り組み方に不足があることを疑うのが賢明だというのです。施策は良いものなのにやり方が悪いということもあります。そういう時こそもうやったと言わずに自分と相手ではどういった取り組みの差があるかを考え、改善して挑戦することが大切です。

顧客にアプローチするには商品の良い特徴である「売り」を明確に伝える必要があります。それには商材の完成前にチラシを作っておくことが有効とあります。チラシができるほどに特徴や良さが整っていれば施策も明確になるというものです。

小さく初めて、施策も自分の取り組みを見直しながら行動することは納得です。ここで、多くの人はわかっているけど続けられないと思います。しかし著者はコミットすることを段階に応じて変えるとまたハードルを下げることができるというのです。この段階では集客作業は何時間作業し、何件声かけするなど行動数を目標とする「行動コミット」で良いというのです。その後に行動が守れたら結果が出る方向に修正しながら「結果コミット」を用いて結果を問うものに変えていく方法が紹介されており、ハードルの下げ方は再現性が高いと思います。

「想定内を増やす」

何かを始める時、上手くいかない時にどうしたら良いかわからず思考停止してしまうことはありませんか?この本では「想定内」を増やすことでそういったことを減らせることがわかります。まず、他の人の集客方法を調査するというものです。本書によれば驚くほど多くの人が競合を調べないというのです。確かに行動する意欲を持った時に「まず調べよう!」ではなく、まず一歩を踏み出すことはあると思います。それ自体は動けるだけ良いことだと思いますが、初動で動けたら競合を調べてまだやっていないことを知り、試していくことが大切です。何でもかんでも自分で生み出していたら時間がいくらあっても足りません。上手くいっていることや定石を調べて真似してしまうのは毎変有効です。デザインをする時も全く同じだと思います。

またそういった、さまざま競合の事例を知るとともにお客様が買ってくれなかったことや、製品やサービスをキャンセルされた時も想定しておけば快く対応できます。想定しておくことで、見込み客を掴んだままにできることもありますし、浮き沈みで自分の行動を止めてしまう機会もグッと減りより良いことだらけです。

学びの振り返り

「起業1年目の集客の教科書」は読了まで一度読むのは2時間程度でした。しかし、なかなかインハウスのデザイナーとしては馴染みのない内容が多いので何度か読み直しました。よくよく考えてみると社内で仕事を得る時にも上述の原理原則やマインドは役に立つと気付かされました。また、お客様に購入していただいた後も「お客様の居場所」を作ることが重要でコミュニケーションをする場を設けて人が人を呼ぶ状態を目指すとあります。継続的に集客することも包含された内容なので、ぜひ起業しているかたはもちろん企業にお勤めの方にもお勧めします。
「この人から買いたい」と思われるために、皆様もお手に取っていただければ幸いです。

本を読むことは、著者が時間を掛けて得たものを短時間でインプットできる大変な時短です。キャリアアップやライフハックに必ず効きます。もっと時短したい、作業しながら本を読みたい場合はオーディブルで聴くのもひとつかもしれません↓