イントロダクション
こんにちは!プロダクトデザイナーのTANUKIです。
このサイトは、会社員デザイナーのキャリアアップのために、転職や昇進に必要なスキル向上に注目しています。本を読むことは、専門知識以外にも多くの面で有益であり、読書の継続を推奨します!ここでは、要約ではなく、どのように役立つかを中心に本を紹介したいと思います。
本の概要
今回は、「新版 平山郁夫 私のスケッチ技法」著:平山郁夫 解説:村木明を読んでみました。発行されたのは2007年で新版とあるのは1981年に発行された同タイトルを再編したものでした。平山郁夫さんはシルクロードをテーマとした絵画、ラクダが砂漠を歩いている絵を思い出す方も多いのではないでしょうか。また東京芸術大学の学長であったことでも有名です。そんな、平山郁夫さんのスケッチの技法ということで何か得るものがあるのではと思って手に取ってみたところ学びがありました。
本書では著者のスケッチ解説や解説者の村木氏との対話を通して、スケッチへの取り組み方やどういったことを意識しているのか?写真を参考に描くことの是非など画家を目指す方に限らず絵を描く方に参考になる内容です。
「スケッチは日常訓練」
一部の人には耳が痛い話である。
どうやらスポーツ選手が試合以外にも練習を重ねて最善の結果を残すのと同じ様にスケッチは画家にとって日常の訓練であり毎日やって当たり前、積み重ねがものを言うのだということでした。
学生の時や中堅デザイナーまで必死にスケッチを描くことが多かったが、40代に入ると徐々にその機会は減りつつあるというデザイナーも多いのではないでしょうか?。また業態によっても年がら年中、提案を繰り返す企業デザイナーもいれば、半年はインプットで半年はアウトプットという形で手を動かす期間が限られている場合もあります。私はまさに後者で手を動かさない期間があります。やはり、ある程度腕が落ちてくる感覚はあります。もちろん平山郁夫さんの様に画家ではないのですから絵ばかり描くことが仕事ではありませんが何かこう、、、サボっている、鍛錬を怠っている様な気分に陥ります。
ちなみにプロダクトデザイナーの仕事については下記の記事で紹介しています
著名な平山さんはやはり幼少期から群を抜いていた様で、学校で同級生が紙を授業中に渡すとどんなものでも素晴らしいスケッチを返してきたと本書の中にも記述がありましたので、まさにいつ何時も、たった数分でも鉛筆を握りらがき続けてきたからこその描画力、表現力であることがわかります。
デザイナーも日々、スケッチを繰り返し表現力の維持向上に努めるに越したことはないので非常に勉強になります。たった今からでもすぐに始めれば積み重ねることができます。積立投資の今すぐに少額でも始めて時間を味方につけて徐々に増やすといつの間にか大変な資産になっているという話に似ていますが、まさに今すぐこれを読んでる方で思い当たる方はすぐに取り掛かったほうが良いと思います。英語もきっとそうだろうと、読んでいて様々な取り組みに参考になる考え方が散りばめられいています。
英語TOEICの学習を始めた頃、単語を覚えることから積み重ねたことを思い出しました。当時の記事は下記にありますのでTOEIC学習に興味のある方はご一読ください。
「どこから描くか」
どこから描くかに言及している章があるのですが、どうもそのスケッチの主役たる一番魅力的な部分から描くというのです。これは限られた時間で行うシルクロード取材や、街中での一時などのスケッチで途中で止めなければいけないタイミングがいつきても主要な部分に手が入っていることへの対策であることが明かされていました。これは絵を描く方以外にも大変参考になる考え方です。何かビジネスの現場で施作を練っている時に上司に「今どんな調子だい?」と途中で聞かれたとします。これで、前段の部分ばかり進めていて肝心の主要な話が手がついていないというのでは説明をすることができず、上司に不安感を持たせてしまいます。美術大学の学生の時にも同じ様なことがありました。課題を制作しているのですが、教授に状況確認されてあまり進んでいなかったので答えに詰まると「いつだって、全体感が語れる様に準備しておかなくてはいけない」とアドバイスをもらいました。これはスケジュール感や工程について把握して進めていれば途中であれ、目標と現段階のステップは全体のどこなのかを答えられたはずです。メインの部分が捉えられていない状況を放置しているのは、行き当たりばったりであることの証拠なのです。本当に卓越した人の行動の中には自分のことに転換して考えてみると分野の違うことでも応用できることがたくさんあります。もっと若い時に読んでいれば、、、と思わせる本です。まぁ今が一番若いのですから遅くはないと自分に言い聞かせたいと思います。
「点景の活用」という章にも、もっとも目立たせるモチーフをしっかり描き、他の背景はあっさりとさせることでしっかり伝えたい部分、自分や見た人に残したい印象を残せるというものがありました。下手な絵描きほど点景(注力して描く部分)を点在させてしまい、メッセージの残らない絵になるというのです。これもまさしく「プレゼン」だと思いました。
伝えたいことはワンスライド、ワンメッセージとはよく言われるものの実際に業務に取り組んでいると考えを組み立てきた順路で話してしまい、冗長的になってしまいメッセージが伝わらないという場面を散見します。シンプルに伝えたいことを際立たせる、とてもビジネスマンにも参考になる事例です。
具体的に何がわかるのか?
日々積み重ねることが成果を出す近道である。
本書の題材はスケッチ技法ながらその考え方を通して、全ての取り組みに通ずる学びがある
ひとこと感想
「今から積み重ねよう!」
まとめと次の読書に向けて
「新版 平山郁夫 私のスケッチ技法」は読了まで1時間でした。
挿絵も多いので、読む時間は短いですが学びは上述のこと以外にも盛りだくさんです。画家を目指す方はもちろん、デザイナー、他の業種の方も学びたいと思っている方は得るものが多いのではないかと感じました。また、自分の専門書とややずれている本で得たほうがそもそも応用しないと活用できないため自分にどう活かすか考える機会になるのではないかと思います。ぜひ、皆様もお手に取っていただければ幸いです。